社外に出て一般常識のビジネスマナーくらいは知っておかないと恥ずかしい思いをします。
しかし社会人として当たり前に身に着いていなければならない“ビジネスマナー”は、高校や大学などでは教えてくれないことがほとんどです。
新入研修がしっかりしている企業であれば良いですが、社会人になったら自分で知識を習得していくべき……という風潮が多々あることが現実です。
現場で見よう見まねで学んでも正しいビジネスマナーを習得するには落ち度がでてきますので、自身でしっかりと勉強しましょう。
企業としても、すべての新卒・新入社員がビジネスマナーを習得して入社してくるわけではないことを理解し、新人研修をしっかりと行ってから現場に出すくらいの余裕は持ちたいものです。
名刺交換のマナー
基本マナー
- 名刺は名刺入れに入れましょう(財布などに入れるのは厳禁です)
- 名刺は訪問した方から先に渡します
- 名刺の両端を両手の親指と人差し指で軽く持ちます
- 名刺は相手が読みやすい向きで自分の名前を名乗りながら渡します
- 名刺を渡すときは立った状態で胸の高さで脇を締めてひじを曲げ差し出します
- 名刺を受け取るとき「頂戴致します」と両手を添えて受け取ります
たまに「こういうものです!」と言って名刺を渡す人がいますが、相手に対して失礼な振る舞いになります。必ず自分の名前を名乗って渡しましょう。
……ここまでは教えられなくても常識的にわかることです。ここからは、よく起こりうるケースに対しての常識的なビジネスマナーです
応用マナー
<テーブル等をはさんで面会した場合>
テーブル等をはさんで名刺を渡すのは失礼になりますので、テーブルを回り込んで渡します。
<先に本題の話が始まってしまった場合>
キリの良いところで
「申し遅れました」「ご挨拶が遅れて申し訳ございません」
……と一言添えて名刺を渡します。
<社名や氏名が読めない場合>
間違った読み方で相手をお呼びすることは大変失礼なことになりますので、
「恐れ入ります、お名前は何とお読みすればよろしいですか」
…と確認します。
<名刺交換を同時にする状況の場合>
右手で自分の名刺を差し出し、相手が受け取ってから相手の名刺を両手を添えて受け取ります。
名刺入れを左手で持ちながら名刺を受け取り、その上に乗せるようにするといっそう丁寧になります。
<名刺交換の相手が複数いる場合>
役職の位の高い方から順に名刺を渡します
受け取った名刺も役職の位の高い順に上から重ねます
名刺交換後の打ち合わせの際、頂いた名刺はテーブルの上に並べて置きますが、役職の位が一番高い方を名刺入れの上に置き、他の人は目の前に座っている順番と同じように名刺を置くようにします
<こちらが複数いる場合>
役職の位の高い順に名刺交換を行います。
<名刺の取扱いのエラー>
相手の名刺は落とさないように細心の注意をしましょう
自分の名刺を落としてしまったら 「失礼しました」…とお詫びをし、新しい名刺を渡します。
名刺を忘れてしまったら、「申し訳ございません、只今切らしておりまして…」とお詫びをし、すぐにお詫び状を添えて名刺を郵送します。
相手を覚えるために相手の名刺に特徴などを書き込んでも良いのですが、相手の目の前で行なわないようにしましょう
初対面同士を引き合わせ、紹介するときのマナー
「取引先の相手」と「自分の上司」を引き合わせてそれぞれを紹介する場合、基本的な優先順位は自分の身近な者から紹介し、敬うべき相手を後に紹介します。
「取引先の相手」が若く、「自分の上司」が年配であっても、敬うべき相手は「取引先の方」になりますので、「自分の上司」を先に紹介し、その後で「取引先の相手」を「自分の上司」に紹介するようにします。
要するに紹介の基本は「内から外に」……ということが原則で、立てなければならない人を後にするということです。
(例)
「ご紹介致します」
「こちらは弊社の第一課課長の〇〇です」
……と社内の者を紹介し、次に
「こちらはいつもお世話になっている〇〇社の〇〇様です」
……と取引先の方を紹介します
社内では〇〇課長…と普段呼んでいても紹介するときは、「課長の〇〇です」…と役職名が先で、自分の周囲の者の姓には敬称は着けません。
複数の役職者を紹介するときは、位の高い順に紹介します。
紹介順の基本
<先に紹介> <後に紹介>
社内の人 → 社外の人
役職が上 → 役職が下
交際の深い人 → 交際の浅い人
身内・家族 → 他人
訪問先を訪れるときのマナー
手土産は訪問先の近くでは買わないようにし、日持ちのしない生菓子などはさけ、大勢で簡単に食べられるものを事前に用意しておきます。
靴は磨いておき、靴を脱ぐ場合靴の先をドアに向けて揃えます。
靴を履くときは、つま先を地面にたたきながら履くことはやめましょう。
<席次マナー>
一般社会では、座る場所にも常識があることを認識しておきましょう。
知らないで上司の席にあたる場所に座っているととんだ恥をかくことになります。
<会議室の席次>
(議長がいる場合) | (議長がいない場合) |
議長がいる場合、議長の近くから役職の高い順に席を配置します
議長がいない場合は、入口から遠い方から役職の高い順番に席を配置します
<TVのある部屋の席次>
入口から遠いほうから上座 | TVが見やすい位置が上座 |
TVのある部屋の場合は、基本的にTVが見やすい位置で尚且つ入口から遠い方から役職の高い順番に席を配置します。
<応接室の席次>
社内での席次 | 来客時の席次 |
応接室での席次は、3人掛けソファーと1人掛けソファーでは、3人掛けソファーの方が上座になります。入口から遠い奥の方が、上座になります。
お客様を招いた場合は、入口から遠い側の列の真ん中にあたる位置が、来客側の上座になり、一人掛けソファー側が社内側になります。
<和室の席次>
社内の宴会 | 接待の宴会 |
社内での和室宴会
社内での和室宴会では、床の間のある和室の場合「床の間側の中央」が上座になり、その中央の向かいが次の席次になります。
次に入口から遠い「床の間側」からテーブルの狭い面へと続き、入口に近い席が一番下座になります。
接待の宴会
来客など接待の宴会では「同じ会社ごと」に並んで座ります。
「お客様が床の間側」になりその「中央が上座」になり、入口側のテーブルの狭い面が下座になります。
立派な日本庭園を見えるような和室では、景色が良く見える側が上座となります。
<車での席次>
マイカーの場合 |
タクシーの場合 |
タクシーとマイカーでは席次が違います。
タクシーの場合
運転席の真後ろが上座になり、助手席の後ろが次で、真ん中→助手席の順で下座になっていきます。
マイカーの場合
助手席が上座になり、運転席の後ろが次で、助手席の後ろ→後部座席の中央の順で下座になっていきます。
これは4人で乗車する場合で、3人や2人など後部座席にゆったりと座れる場合は、後部座席の運転席の後ろから上座になっていきます。
<トイレのマナー>
<訪問先でトイレを使用したい場合>
「トイレをお借りしてもよろしいですか」
……と声をかけてから行くようにします。
公共などのトイレの席次
奥が上座で入り口寄りが下座となります
<トイレに入ったとき、上司が先に用を足していた場合>
「失礼します」
……と軽く一声かけてから用を足します。
- 近づき過ぎないよう、なるべく離れた場所で用を足すほうがよいでしょう
- 汚してしまった場合は、トイレットペーパーでふき取りキレイにしてから出ます
- 手洗い・身なりを確認してから出ましょう
<お酒の席でのマナー>
一杯目の飲み物は、みんなと合わせるのが基本です。
- お酒をすすめられたとき、少し口をつけてから頂きましょう
- お酌をしてもらったら、必ず口をつけてからテーブルに置くようにします
- お酌をしてもらったらいっきに飲み干すのは、あまり望ましくありません
- お酌をしてもらったら、相手にもお酒を注いであげましょう
- 相手のグラスが空になっていたとき「同じものでよろしいですか?」と尋ね、常に他の人のグラス状況を気にしましょう。
- 「無礼講で…」と言われても、接待される側であっても、泥酔するまで飲んではいけません 。節度ある行動を取りましょう
乾杯するとき、上司とグラスを合わせて乾杯するときは上司のグラスよも少し下げた位置に合わせるようにします
<お酒が弱い人の場合>
「飲めません」…と言って断るより「不調法で申し訳ございません」と言った方がスマートでしょう
※これ以上飲めないときは、グラスの上に軽く手をかざして
「も~う、たくさんです」とやんわり断りましょう
<酒を注ぐとき、受けるときの作法>
「一杯どうぞ…」とすすめられたとき
「いや~どうも~」……では軽すぎます。
お酒の席ではありますが、きっちりと節度をわきまえて 「有り難うございます」「恐れ入ります」などと言って頂くのが良いと思います。
目上の方からお酒を注いでもらう場合
「お流れ頂戴致します」
……と一言添えて頂くと一目置かれます。
※(お流れとは、目上の方から頂くお酒のことです)
<ビールを注ぐとき、受けるときの作法>
ビールを注ぐときは、ラベルを上にして右手で真ん中辺りを持ち、左手は下から添えます
受けるときは、右手の指先でグラスを持ち左手でグラスの底を支えます
<日本酒を注ぐとき、受けるときの作法>
日本酒を注ぐときは、右手で銚子の真ん中辺りを持ち、左手は注ぎ口の近くを添えます
受けるときは同様に、右手で杯を持ち、左手は杯の底を支えます
<ワインを注ぐとき、受けるときの作法>
ワインを受けるときだけグラスはテーブルに置いたまま注いでもらいます。
その他、「社会人としての意識の持ち方」「心得」について解説します。
コメント