クレームには一般的なクレーム対応方法で処理できる事例がほとんどですが、中には金銭刻的のために故意的に難癖をつけてくる場合などがあります。
いつそういった事例に遭遇するとも限りません。
いざその時点であわてないように、難問クレーム対応方法も把握しておいたほうがよいでしょう。
クレーム商品の瑕疵担保責任の所在が明らかでない場合
クレーム対応の基本は、そのクレームとなる原因の瑕疵担保責任がどこにあるかはっきりしないことに関しては誤ってはいけません
因果関係のわからないことについてその場の流れでむやみに謝り、認めてはいけない……ということです。
わざわざ再度お店に足を運ばせてしまったことや、ご不便をお掛けしてしまったことについて真摯にお詫びを重ねます。
かけていない迷惑についてはむやみにお詫びをする必要はなく、お手数をお掛けしていることだけについてお詫びをすればいいのです。
例えば、 メーカー製造品の袋の中に針が入っていた…など、「メーカー製造品の中に、異物混入があった」…とのクレームを頂いた場合
「直ちに代替え商品を持ってお伺い致します。その際、原因究明のため商品を引き取らせて頂けますでしょうか?」
……などと対応します。
※このとき「それはメーカー製造元の責任ですので、直接メーカーにお問い合わせ下さい」……みたいに、私たちスーパーマーケットの責任ではありません…のような態度を示してはなりません。
あくまで販売者は私たちスーパーマーケットですから、 まず私たちがお手数をお掛けしていることに対してお詫びをします。お客様もそれを望んでいます。
メーカー製造元が原因かどうかもわからないのに「メーカーがどうした~、こうしたことが原因かも…」などと、憶測でものを言ってもいけません。
あくまでも淡々と事実確認をして、今現在わかっていることだけについて回答します。
お客様の推測は真に受けず、可能性のひとつとして聞いておきます。
後日、検査結果を報告することをお約束して戻ります。
※このときお詫びの品はまだ持参しません 。後日「メーカー製造元に瑕疵あり…」の検査結果の判断がされてから調査報告書と共に持参したほうがよいと思います 。
もちろん状況に応じてそのクレームの対象となった商品は、クレームを受けた時点で即売り場から全て撤去します。
異物混入が、髪の毛であった場合
髪の毛の混入は、いつどこで混入したかを特定するのがわかりにくい場合があります。
もしかしたらお客様が商品を開封したあとで混入することも考えられるからです。
そういう場合は、髪の毛がいつどの時点で混入したかがわかる「カタラーゼ反応の検査方法」があります。
カタラーゼという酵素は、生命が死んで相当時間がたつか、熱を加えると死んでしまうそうです。
ですから製造前に入ったか、後に入ったかが判断できるようです。
製造元に丸投げをせず、お客様宅に報告に行くときは店側も一緒に同行し、真摯に対応しましょう。
感情をあらわに立腹しているお客様の対応策
①対応ミスでこじれた場合、上司か他の人に対応を変わってもらいます。
②応接室などにご案内し場所を変えてお話を聞きます。会話は録音しておきます。
③丁寧にお詫びをし「日を改めて責任者を連れてお客様宅へお伺いする」お約束をして、本日はお帰り頂きます。(日を改めることによって、熱が冷めることが多いものです)
④問題解決方法をお客様に相談して、決着方法をこちらで勝手に決めないようにします。お客様に決めてもらうことも、ひとつの方法です。「お客様のご意向をお聞かせ願えますか?」と問いてみましょう。
⑤できないことは約束しません。自分で決められない範囲の問題はその話を持ち帰らせて頂き、後日お返事を差し上げる旨をお伝えします。
⑥低めの声で、相手よりもゆっくりとした会話スピードで話し、相手と同じエネルギーで、短くはっきり言うように心がけるとよいでしょう。(怒っている態度に怖がらないようにしましょう)
⑦「ミスした本人を出せ」・・・とお客様から要求がある場合、ひとまず責任者と本人以外でお詫びに伺い、謝罪と再発防止策を説明します。(本人に、「責任をもってもらう」ことと「責任をとらせること」は別物であります)
相手の要求に応じているように見せながら徐々に断る手段
相手の要求を受け入れることが不可能であることがわかっていても、即「致しかねます」と断らず、徐々に断るほうが良いケースもあります。
最初は、
……と安心させます。
その後は、こまめに、相手にTELを入れ
……とか
……などと、相手の意向を決して”ないがしろにしていない”ことをアピールし、結果として、
……などと「そこまでやってくれたのなら仕方ない」……と、こちらの努力を認めさせ自分のほうからあきらめるように仕向ける方法もあります。
人はわかりきったことでも報告を受けると安心する傾向があります。
いろいろなケースがあるので、臨機応変にその相手にあった対応方法を見極めることが大事であります。
苦情処理は「勝ったら負け」であります。我慢して聞き、「相手の気持ちを収めること」が大事なのであります。
悪質クレーム対応策
◆悪質クレーマーが店で騒いで帰らない場合
- 別の部屋に案内するか、はっきり「お帰りください」と出口へ案内します。
- 店の運営を妨害するような場合は、警察に連絡します。
◆「誠意を示せ」と金銭要求を遠まわしで言う場合
「弊社と致しましては〇〇という形でなんとか収めて頂きたいと思うのですが、お客様のご意向をお聞かせ願えますか?」……と、金銭以外でのありきたりな代替え案を提示し真意を探り、先方から要求を言わせるように仕向けましょう。
※こちらから慰謝料などのお金の話をしてはいけません。
(悪徳クレーマーのプロは、恐喝になるラインを知っていますので、はっきりと「お金を出せ」とは言いません。)
- 法外な要求は、明確にお断りします
- 自分のポケットマネーを出してその場を収めてしまおう……などと、軽率な行動をとってはいけません。(現金で解決を図らないことです)
◆恐怖心をあおってきた場合
- 録音機で記録をし、複数で対応するようにします。
◆「社長をだせ」「本社につなげろ」……などと、言ってきた場合
「どちらに電話してもお店が最終責任になりますので、こちらでの対応になります」……と、本社や社長が対応することがないことを遠回しに返答します。
本社には即、その事実だけは報告しておきましょう。
◆「大きな声を出された場合」
大声に驚いて、あわてて謝罪しないように強い心を持って対応しましょう。
「そんなに大きな声を出さなくても聞こえております」とキッパリと言いましょう。
◆不当な要求をされた場合
例えば、
……などと、タクシー代や新幹線代がかかったので、その費用などを請求してきた場合
商品瑕疵担保責任の請求以外の内容とあわせて、後日こちらからお伺いする旨を伝えるます。
◆訪問先で閉じ込めて返さない場合
打ち切りを宣言し「本日は、これで失礼します」と退出します。
それでも無理な場合は、”店に解決方法を相談する”ように見せかけて、警察に電話しましょう。
◆「対応が悪い」と問題をすり替えてくる場合
例えば
異物混入のクレーム解決のために訪問したのに、不当に「何だお前の態度は!」などと言って本題からはずれた二次クレームも発生させ問題を大きくすることを狙ってくる場合があります。
この場合はまた後日、担当者や上司が改めて対応させて頂く旨を伝え、何もせず引き下がってきましょう。
◆「保健所に届けるぞ!」……の金銭要求の脅し文句には、
「弊社といたしましては、保健所のご指導を承りたいと思います」
……の返答でよいのです。
保健所を怖がる必要はありません、正規の手順を踏みましょう。
◆土下座の強要は犯罪?
「土下座をしろ」と言われて素直に応じる場合は成立しませんが、「土下座をしないと〇〇するぞ」などと脅迫や、暴力的な手段で行わせた場合は成立します。
業務に支障が出た場合は、威力業務妨害にも値してきます。
一筋縄ではいかないと判断される場合は、会話を録音しておくようにしましょう。
悪質クレーム対応の心得
※悪質クレームの狙いは、こちらを困らせることで、金銭的な解決を引き出す狙いがあると心得ましょう。
・相手のペースに乗らない
・相手に合わせて感情的にならない
・対応は毅然とした態度でぶれない
・その場の逃れの安易な妥協をしない
・「トラブルになったらどうしよう」などと恐れない
・相手より、わずかに下の位置で対応する(へりくだりすぎはダメ)
・相手の狙いの目先だけでなく、その先の最悪を考えて望む
・その場で、商品代返金以外の安易な金銭解決をしない
必ず相手の氏名・住所・電話番号をお聞きしてこちらから後日伺う旨を伝え、その場を収めるようにしましょう。
相手に罪悪感やよこしまな気持ちがある場合は、自分の身分を明らかにできないものなので「また店に来る」……と言い張ります。
「所在を確定させていただいた上で、真摯に対応させて頂くことになっております」と、所在が不明な方とは、お話できない旨を遠まわしに伝えましょう。
このほかにも、あらゆる手口で脅しをかけてくることがあります。
常に基本に忠実に、自分一人で解決しないようにすることが大事であります。
次は、これらをすべて認識して、クレームを受けた時の行動がスムーズにとれるように、ロールプレイングをしてみましょう。
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